〈新開発〉イージーピールフロアケア
―JR東日本 ESG Award 2021, 2022
社長賞&経営企画部門長賞 受賞―

株式会社JR東日本運輸サービス様は作業の省力化・環境負荷低減を目的とした
新システム「イージーピールフロアケア」を開発。
車両床ワックス清掃の変革をもたらす取り組みについて独自取材しました。

開発の経緯

環境負荷、作業負荷の大きい
「はくり作業」を改善したい

当社はJR東日本からのグループ経営ビジョン「変革2027」の展開に伴い、少子高齢化による労働力人口減少に備えた省力化を目指す「JETSビジョン202X」を策定しました。 その取り組みとして、ワックス清掃の新しいカタチを確立し、作業効率の向上と環境負荷低減を目指しました。

従来の「はくり作業」から、亜鉛フリーワックス"イージーピールコート"の塗布と、それを強アルカリイオン電解水で除去することへの変換。 さらに、除去作業で出た汚水の処理ができる装置"イージーピールセパレーター"(実用新案登録済み)の開発も行いました。

この取り組みが持続可能な社会の実現に向けた功績としてJR東日本に評価され、ESG Award 2021, 2022の社長賞と経営企画部門長賞を受賞しました。

(前)常務取締役 清掃事業本部長
松下氏

開発の成果

削減だけでなく、リサイクルも可能に

この度の開発によって、水使用量の削減も実現できました。床ワックスにイージーピールコートを用いると、ワックス除去時に床を洗い流す為の水の量を格段に減らせるのです。 上水の単月使用量/事業所
30%減 約2,000m3 → 1,400m3〈2,000,000L → 1,400,000L〉
さらに、(一般社団法人)床ワックスをリサイクルする会のご協力で、ワックス除去で出た汚水を処理装置にかけた際の残留物を再生利用することも可能になりました。 今まで有償で廃棄していた汚水を排水基準値内の水と残留物に分け、残留物をアスファルト路盤材の原料として再生利用できるようにしました。

その他には、こちらも(一般社団法人)床ワックスをリサイクルする会にご協力いただき、汚水に含まれたワックス成分を再生利用して、おう吐物凝固剤も開発しました。 実際に車両内でのおう吐物処理に役立てる予定をしております。

清掃業務部 業務課 担当課長
上村氏

検証と結果

相模線、埼京線での
フィールド試験の検証を終えて

当初、ユシロさんに亜鉛フリーワックスの試作品を提案いただき検証しました。 まず相模線の車両床に塗布して経過観察したところ結果が良好でしたので、次は埼京線で同様に検証しました。

亜鉛はワックスの耐久性に関わる成分なので、乗降客数の多い埼京線で耐久性が維持できるのか半信半疑で検証を始めましたが、失礼ながら意外に結果は良好でした(笑)。 最終的に、3か月間の耐久性が確認され"イージーピールコート"を採用とさせていただきました。 当時、運行スケジュールを確認しながら検証用車両の調整をするのは大変でしたが、やりがいがありました。

国府津事業所 茅ヶ崎派出 主任
本間氏

検証のポイント

基準は乗降客数の多さに負けない
強い耐久性

現場では、ワックスが床材保護の役割を果たせるかを重視し、2~3か月程度の耐久性の有無を基準に検証しました。 乗降客数にもよりますが実際の車両では最長4か月の周期で塗り替えています。

イージーピールコートを
塗布した車両床
大船事業所 総括主任
渡部氏

省力化・環境負荷低減を叶えるシステムチェンジで車両床ワックス清掃における変革を起こした株式会社JR東日本運輸サービス様。 これからも人や地球にとってより優しい社会を実現するため挑戦を続けます。 同社は2023年11月に東京ビッグサイトで開かれる鉄道技術展にて本システムの展示を予定しています。

*この記事は2023年4月に取材をさせていただいたものです。

株式会社JR東日本運輸サービス

JR東日本のグループ会社として、東京・神奈川・千葉・栃木・山梨における車両清掃・整備業務、車両メンテナンス業務、構内運転業務を担う。

本社所在地
東京都中央区日本橋室町4丁目3番地16号 柳屋太洋ビル
創立
1955年
従業員数
1,979名
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